貴方の言葉だけが私を殺せるなら、どれだけよかったか。
温度も感触も材料でしかなくて、形を作るのは自分の手だ。
振り返るのはすべてが終わってからだ。見通しを付けなかったのが悪かったのだろうか。どこから間違えてしまったのだろうか。
そう、クッキー焼いたら焦がした。
やあ。
お菓子作ったことある?入れる砂糖の量に最初はビビるよね、わかるわかる。
今日は奮発してチョコチップとクルミを入れたクッキーを焼いたんだ。
生地はプレーンで、香り付けにバニラオイルを入れた。
スプーンで生地を取り分けて、クッキングシートへ等間隔に置いて焼いたんだ。
焦げた。
焼き目が強いとかじゃない、焦げた。
別に誰かに渡すものでもないからいいんだけど、私は美味しくないものが吐くくらい苦手だ。
たぶん昔、失敗した料理を「おいしいよ!」と心にもないこと言いながら口に詰め込んだからだろう。
懐かしい、小学生くらいのことだったかな。
連鎖して思い出したんだけど、同級生にガラスの瓶で殴られたことがある。
だから思うんだけど、割ったガラス瓶ってもっと痛いんじゃないかな。
私を殴ったあの子は、同級生の中では一番付き合いが長くなった。帰り道も一緒だったし、公園でもよく遊んだ。
こぶし大のなめくじが闊歩している山道だった。私の通学路で、ずっとシャッターの降りた、電光掲示板の眩しい弁当屋があったな。足元に燃え殻が転がっているから、それに注意しなければいけなかった。
ここから日記なんだけど、今日は一日中寝ていたよ。
今も布団の中さ。水を飲むとか以外で一歩も出なかったよ。
以上、87%の嘘でお送りしました。